PRP FD注射
PRP FD注射

PRP療法を応用した技術「PFC-FD™療法」とは

自己修復機能を活性化させる作用があるPRPを応用した技術「PFC-FD™療法」によって、関節の痛みなどの治療を行っています。

PRP療法とは

当院では再生医療であるPRP療法を応用した治療技術「PFC-FD™療法」を導入しています。


PRPとは、Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿)の略称で、血小板を多く含んだ液体、という意味です。この血小板を多く含んだ液体(PRP)を活用した治療法をPRP療法といいます。このPRP療法は患者さんご自身の血液を利用した治療法で、患者さんから採血した血液に含まれる血小板を活用する治療法です。


血小板には様々な成長因子が含まれます。具体的には細胞増殖や新しく血管を作り出すことを手伝うPDGFと呼ばれる成分や、骨芽細胞増殖やコラーゲンの増殖などを促すTGF-βなどが含まれています。(*1)


怪我をしたときに血が出てしばらくするとカサブタになり、さらに時間が経つと治りますが、これは上記のような血小板に含まれる成長因子が影響しています。


PRP療法はこのような成長因子を含んだ血小板を、遠心分離によって通常の血中濃度よりも3〜5倍濃くした液体(血漿)を患部に注射します。(*2) 整形外科領域においては、変形性膝関節症を中心に関節疾患に用いられ、主に患部の痛みを抑える効果を期待する治療です。

PRP療法を応用した「PFC-FD™療法」とは

当院で採用しているPFC-FD™療法とは、上述したPRP療法を応用した技術です。


PFC-FD™療法は上述したPRP療法同様に血小板に含まれる成長因子の働きを活用する治療になります。従来のPRP療法と違うのは、クリニックで患者さんから採血したあと、その血液をセルソース株式会社に輸送、厚生労働省から特定細胞加工物製造許可を受けた「セルソース再生医療センター」にて培養加工を行います。


そこで従来のPRP同様に血小板の濃度を高める遠心分離を行いますが、それだけではなく、さらに成長因子を活性化させます。その後、凍結乾燥(フリーズドライ)加工を施し、長期の保管を可能にすることで、患者さんのお好きなタイミングでの施術を可能にしています。

PRP由来の治療「PFC-FD™療法」の効果が期待できる方

(1) 膝の痛みに悩んでいる

PRP療法同様に、PFC-FD™療法は変形性膝関節症を始めとした膝の痛みに活用されています。


この変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)は2008年時点で自覚症状を持つ人が全国で1,000万人、病院には行っていない潜在的な患者数も含めると推計3,000万人とされています。(*3) 50歳を超え、膝に痛みを感じるようになった場合、この変形性膝関節症の可能性が高いといえます。


PFC-FD™療法をこの変形性膝関節症の膝306例に実施した研究があり、6〜7割で以下の効果があったと報告されています(*4)。

  • 膝の痛み軽減
  • 症状の改善
  • 階段の上り下りなどの日常動作ストレス改善
  • スポーツ機能改善

特に痛みの軽減については100点満点中、1ヶ月後に11.5ポイント、3ヶ月後には14.4ポイント、半年後には16ポイント改善したと報告されています。

膝が痛くて歩きにくい

(2) 頻繁にヒアルロン酸注射を受けている

PFC-FD™療法は高い持続力があるとされます。上述と同様の306の変形性膝関節症の膝にPFC-FD™療法を投与した研究においては、投与前と比較して実施後12ヶ月でもスコアが改善していることが確認されています(*4)。


上記研究は、変形性膝関節症患者さんのなかで内服薬やヒアルロン酸注射で効果がいまひとつだった方を対象に行っており、PFC-FD™療法はヒアルロン酸注射に効果を感じれない方でも効果が見込めるということが示唆されたものです。


また、そもそもヒアルロン酸とは体内に存在する成分であり、人工的にその成分を注入する治療をヒアルロン酸注射といいますが、このヒアルロン酸はもともと体内に存在するがゆえに注射によって人工的に投与しても吸収・分解され、効果は1〜2週間ほどで切れてしまい、再度通院する必要があります。


ヒアルロン酸注射のために長いあいだ通院を続けていて、効果がいまいちであり、医師から手術を勧められているが、手術は怖い、という方はPFC-FD™療法を検討してみるのもよいでしょう。

ヒアルロン注射を何度も打っている

(3) 膝以外にも

PFC-FD™療法はPRP療法と同様に、変形性膝関節症を始めとした膝の痛み以外にも、さまざまな関節の痛みに対し徐々に活用が広まっています。


肩関節では一般的に四十肩や五十肩と言われる「肩関節周囲炎」、股関節の関節軟骨や骨が徐々にすり減り痛みとともに変形していく「変形性股関節症」、足首の関節軟骨が痛みとともに徐々にすり減っていく「変形性足関節症」など、主に加齢を原因とした関節疾患に活用され始めています。

また、年齢に関係なく生じる「テニス肘」や「ゴルフ肘」、「半月板損傷」などを始め、「肉離れ」などのスポーツ外傷にもその効果が、研究段階ではありますが活用され始めています。

(主にPRP療法で効果が確認される疾患に対しては効果が見込めると言えます。)


元プロ野球選手の松坂大輔さんも、度重なる膝の痛みにPFC-FD™療法を活用しています。

https://number.bunshun.jp/articles/-/850856


ただし、PRP療法同様にPFC-FD™療法はこれらの疾患をお持ちの方すべてに効果があるとは限りません。先程もお伝えした306の膝に投与した研究においても、効果が出たのは6〜7割との結果が出ています。また、PFC-FD™療法は人体の持つ自己修復能力を促進する治療ではありますが、軟骨を再生するなどの効果よりも「疾患や炎症による痛みを抑える」という効果が主です。よって、あまりにも疾患の程度がひどいような場合は、PFC-FD™療法を受けたとしても最終的に手術が必要になる可能性はあります。


ただし、これまでの手術以外の治療では抑えられなかった”痛み”を、手術以外の方法で抑えられる可能性のある治療となりますので、ご興味がお有りの方は一度ご来院ください。

ヒアルロン注射を何度も打っている

PRP療法の短所・デメリット

PRP療法の短所・デメリットもございます。

  • 痛みや炎症(熱感、赤み、腫れ)を伴うことがあります。
  • 採血部、注入箇所の一時的な痛み、皮下出血の可能性があります。
  • 採血部、注入箇所に感染症が起こる可能性があります。

PFC-FD™療法の流れ

STEP1:問診・診察

痛みや違和感の程度など症状についてや、これまでの治療についてお伺いし、PFC-FD™療法で効果が見込めるかどうかを検討します。

STEP2:採血

患者様の腕から約50mlの自己血液を採取します。必要な血液の量は健康診断で採血される量とほとんど同じで、また、採血の方法も健康診断時と殆ど変わりません。

(※患者様によっては多めに採血をする場合もございます)

STEP3:検査・加工

PFC-FD™療法は感染症をお持ちの方は受けることができません。セルソース株式会社の再生医療センターに患者様の血液を輸送し、血液を検査して感染症の検査を行います。

(※もし感染症が見つかった場合、治療は中止となります。)

感染症が無いことが確認されれば、厚生労働省基準で細胞加工を扱っても良いと承認される無菌状態の環境下で培養・加工します。

STEP4:注射による治療

セルソース株式会社で加工が完了した血液を患部に局所麻酔を用いて注射をします。PFC-FD™療法の施術自体はこれにて完了となります。

PRP由来の治療「PFC-FD™療法」の費用

PFC-FD™療法は、PRP療法同様に自費診療です。

治療項目(部位)費用
従来型20万円
新型30万円

※PFC-FDはセルソース株式会社が提供する商標です。

*1…Functional Food Research 16 (2020) 「変形性膝関節症に対する新しい治療“PRP療法”について」齋田良知

*2…「The Use of Platelet-Rich Plasma in Symptomatic Knee Osteoarthritis」Thieme Medical Publishers 333 Seventh Avenue, New York, NY 10001, USA. Taylor M. Southworth , Neal B. Naveen , Tracy M. Tauro , Natalie L. Leong , Brian J. Cole

*3…介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会-厚生労働省. 介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について 報告書. 2008年7月.

*4…大鶴 任彦 et al. 変形性膝関節症に対するBiologic healing専門クリニックの実際とエビデンス構築. -基礎と臨床 2020年9月号 特集:幹細胞・PRP・衝撃波−Biologic healingのエビデンス. 関節外科. 2020年9月. vol.39 No.9. 945-954