当院で行なっている関節軟骨再生医療
- 培養脂肪由来幹細胞移植(ASC)
- 血小板濃縮液移植(PRP-FD、PFC-FD)
PRPとASCはどう違うの?
PRPは患者様本人の血液を採取し、血小板濃縮液を取り出し治療に使用します。
ASCは患者様本人の皮下脂肪を採取し、幹細胞を分離培養し治療に使用します。
PRPは比較的軽度の軟骨損傷に使用されるのに対し、ASCはより進行した軟骨損傷にも効果が期待できます。
反面ASCは軟骨損傷にしか使用できませんが、PRPは腱損傷、靭帯損傷にも使用することができます。
PRPの対象疾患
脊椎以外の全ての変形性関節症、および靭帯損傷、腱損傷
ASCの対象疾患
膝、股関節、足関節、肩関節、手関節の変形性関節症
幹細胞とは?
私たちの体はさまざまな細胞で構成されていますが、これらは大きく体細胞と幹細胞に分けることができます。
体細胞とは筋肉、神経、皮膚、さまざまな内臓などに分化した細胞であり、他の細胞に変化することは出来なくなっている細胞です。
それに対し、幹細胞とはまだ分化する前のこれからさまざまな細胞に分化することが出来る細胞のことを言います。
こんな患者様におすすめです。
- 膝や足首、股関節が痛くて歩きにくい。
- 肩が痛くて腕が上がらない。
- ヒアルロン酸注射を受けているが良くならない。
- サプリメントを飲んでいる。
- 病院で手術を勧められているが、まだ手術は受けたくない。
- 「手術をしないと痛みは取れないが、まだ若いので今は手術をしない方が良い」と言われている。
培養脂肪由来幹細胞移植とは?
腹部や臀部の皮下脂肪を採取し、培養したのち関節内に移植する治療です。
当院では、厚生労働省に認可を受けた再生医療センターのラボで抽出、培養を行なっています。
腹部から採取した皮下脂肪20ccから幹細胞を抽出します。
抽出した幹細胞を200〜300倍に培養し、冷凍保存します。
再生医療センターでは、-150℃の超低温で凍結保存するため長期保存しても細胞の劣化や細胞数の減少はほとんど見られません。
抽出、培養には、脂肪採取から約6週間かかります。
その後、投与日が決定され再生医療センターから当院へ凍結された培養幹細胞が送られてきます。
これを院内で解凍、洗浄し、患者様の関節内に注射します。
ASC治療により期待できる効果
軟骨損傷による関節痛の改善が期待されます。欠損した軟骨の増殖、修復が報告されています。また、変性し変色した軟骨の正常化した例も報告されています。
治療の流れ
- 診察
- ASC治療を希望される患者様は、まず診察を必要とします。問診や患部の診察を行い必要が有れば画像診断も行い、ASC治療の適応があるかどうかの診断を行います。
すでにかかりつけの医療機関で、診断、画像検査などを受けており、その画像(レントゲン、MRIの画像データ)を当院に郵送できる場合にはLINEやZOOMを利用して遠隔診療を行うことも可能です。
(最初の診察について、当院に来院される場合は保険診療で行えますが、遠隔診療の場合は自費診療となります。) - 脂肪採取
- 診察の結果ASC治療の適応があり、患者様が治療を希望された場合は脂肪採取日を決め来院していただきます。
局所麻酔での施術ですので、入院の必要はなく、日帰りで行えます。 - 投与日決定
- 培養された幹細胞は超低温で保存されており、投与日に来られない場合細胞を破棄する事になるため、確実に来院できる日を選びます。
- 投与
- 投与方法は通常の関節注射と同じです。投与日は投与した関節を浴槽に入れることが出来ません。シャワーのみになります。
- 経過観察
- 投与後、1か月、3か月、半年、1年のタイミングで疼痛の程度を確認する必要があります。
この診察は、遠隔診療で行うことも可能です。